地域型住宅ブランド化事業/被災3県に特別枠を/国交省/川本住宅局長に要望

 東日本大震災で被災した東北3県の地域型復興住宅推進協議会は20日、国土交通省に川本正一郎住宅局長を訪ね「地域型住宅ブランド化事業」(24年度創設予定)採択に当たり、被災3県の特別枠の確保を要望した。合わせて3県内で建設需要が見込まれる「災害公営住宅」への「地域型復興住宅」の活用も求めた。また、都市再生機構(UR都市機構)も訪れ、同機構がかかわる災害公営住宅建設に際しても地域型復興住宅の採用、地域連携グループの活用を要望した。
 この日同省住宅局長室を訪ねたのは田畑光三福島・協議会長(県建築士事務所協会長)、栗原憲昭宮城・協議会長(宮城県建築士事務所協会長)、村上勝郎岩手・協議会長(岩手県建築士事務所協会長)らで、川本住宅局長と井上俊之大臣官房審議官(住宅局担当)、田中敬三住宅生産課木造住宅振興室企画専門官に面会して、これまでの3県の一体的な取り組みを報告しながら要望書を直接手渡すとともに主旨を説明した。
 要望内容は、「地域型住宅ブランド化事業」の採択に際しては、被災3県に特別枠を設定してほしいということと、事業期間については3県の復興計画に定めた期間を考慮してほしいというもの。災害公営住宅に関しても地域型復興住宅の活用を推進してほしい旨文書と口頭で申し入れた。
 これに対して川本局長は「(木造の)地域に合った住宅が造れるといい。(そうすれば)森林の振興にもつながるので、できる限り応援していきたい」と応じた。

UR都市機構に災害公営住宅での活用も
 この後、3県会長らは横浜市の都市再生機構(UR都市機構)に小川忠男理事長らを訪ね、災害公営住宅の建設に当たり地域型復興住宅および地域住宅生産者グループの活用を要望した。
 小川理事長は「まだ具体的には見えてこないが、要望内容に十分配慮し、できる範囲で対応したい」と答えた。
住宅金融支援機構にも普及協力要請
 さらに住宅金融支援機構にも足を伸ばし、宍戸信哉理事長らに「地域型復興住宅」の普及についての協力を要請した
採択受ければ1戸当たり100~120万補助/ブランド化事業
 地域型住宅ブランド化事業 「木のいえ整備促進事業」の後継事業として24年度予算案に木造大規模建築物向け補助と合わせ90億円を計上した。単に木造の長期優良住宅の建設ではなく、地域の原木供給者、製材工場、プレカット工場、建材流通事業者、建築士、中小工務店などで構成するグループから、その地域の住宅生産システムの共通ルールなどに関する提案を公募。採択されたグループの中小工務店が建てる木造の長期優良住宅に、1戸当たり最大100万円(地域材使用で120万円)を補助する。
 現段階では具体的な実施要項が公表されていないが、グループの構成は、中小工務店以外の事業者は原則1社以上、中小工務店の数は10社以上の参加を求めるとみられる。
 「地域型住宅」の求める具体像としては①地域の気候、風土、街並み景観などの特徴②地域材の特徴③「地域型住宅」の具体像、そして共通ルールは①規格・仕様②地域材の供給・加工・利用③積算・資材調達・施工④維持管理方法など。
 公募した提案は、学識者から成る評価委員会で検討し、その結果を踏まえ、優れた提案について、これら提案内容に基づく活動を行うことを要件として国交省が採択する。
 これまでに福島県が実施した「ふくしまの家復興住宅供給システムプロポーザル」や現在3県の地域型復興住宅推進協議会と住宅金融支援機構が募集中の「地域型復興住宅」は「同ブランド化事業」を先取りした取り組みとなる。

地域型住宅ブランド化事業